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かっていないし、わかる時間もないだけ」
「ふむ、面白いことを言う――」
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 ルイはふっとヴァルサスを思い出した。アルフィリースよりももっと直感的な男だが、ヴァルサスも同じようなことをふっと漏らす時がある。自分が認めた者達が同じようなことを言うからには、何か本当にあるのだろうとルイは感じた。


「(ワタシはアルフィリース、こいつをどうしたいのだろうか。戦いたいのか、それとも味方にしたいのか。恐れているのか、はたまた認めているのか。自分の感情に戸惑うなど、いつ以来だろうな。
だが一つわかっているのは、ここで死なすには惜しいということだけ。ならばやることははっきりしている。)」
「いいだろう、ワタシも手を貸そう。レクサス、ファイファーの身柄の確保に手を貸してやれ」
「了解っす」

 ルイの一声の元、レクサスの行動は早い。先ほどこの場を離れて行ったルナティカの後を、飛ぶような速さで追っていった。
 ルイはレクサスの行った方向を目で追おうともせず、アルフィリースの方をまっすぐ見た。

「アルフィリース、こういう敵の前では将の演説が重要となろう。ましてこれはお前にとって負けられない戦いの様だ。皆に知らしめる必要があるだろうな」
「私、に?」
「そうだ、これ以上語らせるな。お前も人の上に立たんとするならば、ワタシの言うことを本能で感じるべきだ」
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 ルイは説明を省いた。だがこれはルイの優しさでもあった。人の上に立つ者は、その資質を生まれながらに備えている。ルイが諸国を放浪しながら見た、人の上に立つ資質を持つ者の例は、例えばヴァルサス。彼は圧倒的な強さで、そしてその危うさで古今東西のつわものどもを従えていた。だが同時にヴァルサスの強さは、戦士としての強さであって、彼に従う者もまた戦士であろう。彼に従う者はある意味では求道者であり、道に迷う者を導くような男ではなく、まして弱き者を助けたりするような男ではないことをルイは知っていた。
 他にもいる。かつてルイが仕えた王、ローマンズランド国王スウェンドル。彼は確かに王の器であり、野心に燃える王であった。彼の言うことはなんでも実現できる気がしたし、またその力になりたくもあった。だが彼の言うことは、常に甘美に狂っていた。動乱の世に生まれていれば彼は凄まじく強大な王として君臨したであろうが、泰平の世の中ではただの狂王になりかねない。その彼が世に出ることなく大国の主として君臨しているのは、ひとえに彼の周囲に集まった老練かつ冷静な臣下達の手腕によるものだろう。
 だが若き将兵たちは王の言葉にともすればのせられる傾向にあった。かくいうルイもその一人であり、王に傾倒する父親との確執がなければ、果たして自分もどうだったであろうかと時に考える。スウェンドルはそういう意味では確かに王だったが、彼は人を自分の野心という船に乗せるが、彼は自ら乗ってこない者にはまるで興味を示さなかった。彼は将兵の王であるが、国民全員の事を慮っているわけではない。
 そういう点で、アルフィリースはルイにとって未知数である。アルフィリースには確かに人を惹きつける何かがある。ルイはまだアルフィリースと直接会うのは二度目だが、間違いなく彼女には人の上に立つ資質があると感じていた。そうでなければ、戦いの最中にロゼッタにとどめを刺すことをためらうはずがない。だがその資質が何かは、まだルイにもわからないのである。
 未知数。ルイはその先を見てみた
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