Skip navigation.

菓子屋の男衆

フードプロデューサー 渡辺 幸弘

お菓子の奥の物語

ヴァンドゥーズは販売という作業をこなす仕事ではなく、お客様の「お菓子の奥の物語」に答えてあげる仕事。

ヴァンドゥーズの仕事は「接客」とか「販売」と言う人が居るんだけど、正解でもあるけど間違いなんだなぁ。
もっとね、なんというか高級な仕事なんですよ。見た目の作業で捉えたら「接客」だけど、来店されるお客様のほとんどは「誰かに喜ばれたくてケーキを購入」するって事。
それを気づいて答えてあげる仕事。


お客様は、なぜケーキやお菓子を購入するのか。
販売後にお客様はどのようにして誰と召し上がってくれるのかを、想像できた上で接客する事なんだよね。
当てろ!って話じゃないよ。「誰と食べんのさ?」なんて聞いちゃ駄目だよ。ちょっと想像するだけでいい。
こればっかりは経験がものを言うところなんだけど、経験が無くてもセンス(気づき)があれば答えてあげられるかもしれない。
友人関係でも「分かってはあげられないけど、分かってあげよう」と想うことって大事でしょ。正解を急ぐことを目的としているわけじゃないんだな。「ありがとう」って見返りを期待する仕事でもない。

「販売後」っていうのはさ、お客様がどういう目的で「ケーキ」を使用されるのかってことだよ。


もしかしたら、今までやっていた接客は「お客様自身が召し上がる」為の応対しかしていないかもしれないよね。
それも必要なんだけど、それだけじゃ、いつまでたってもお客様には伝わらないと思うよ。
「美味しいものは誰かに伝えたい」ってのは本能だもの。
そりゃ、まず先に自分だけで食べてみなきゃ「お使いもの」として使えるか分からないから、そういう対応も必要なんだけど、お客様は、ショーケースのケーキを見ながら「きっと喜んでくれるかも!」なんて考えてる事の方が多いんじゃないかな。
誰に?


たとえば、
彼氏のお母さんに会わなきゃいけなくなったときとかさ、お使い物としてケーキを選ぶとするじゃんか。
普段はどんなお客様にも全ての商品を推奨できているんだけど、彼氏のお母さんへの「お使い物」となると、選ばない?
小ズルイ奴だと思うけど、そんなものだよね。

「確か、お母さんはバターの匂いのキツイのは苦手とか言ってたかなぁ・・・、チョコ系4種類はキツイかなぁ・・・、ムース系も苦手とか・・」

これがヴァンドゥーズの本当の仕事なんですよー。
相手の要求を考えてあげ、答えてあげる。
そう考えてあげないと「なんて気が付かない娘なの・・・息子に何も聞いてないのかしら」なんて思われるかもしれないよね。
お母さんへの接客を、全てのお客様にしてあげればいい。


普段来店されているお客様も、誰かに喜ばれたいと思って来てるって事だよね。
お客様はケーキを購入する事によって、誰かに喜ばれるなら、喜ばれる為の接客が必要なんじゃないかな。

最初は沢山想像すること。
そのうち本当に聞きたくなるよね。
失礼にならない聞き方ってどんな方法があるか考える。
そうやってヴァンドゥーズは成長していくのかもね。


今までは、「お決まりになったらお申し付けください」と言ってたでしょ。
お客様はさ「なに、ちょっと!勝手に自分の都合でケーキにワケのわからない名前を付けて、客に選べと言うの?」って思ってたんだよ。きっとそうさ。

繁盛しない原因だよね。人気店にならない原因。人が集まらない理由、好かれない理由だと思うよ。
嫌いじゃないけど、ただのケーキ屋さん。

昔、学校で人気者っていたでしょ。どうして人気者になれたのか分析してみると分かるかも。
優しかったのか、明るかったのか、楽しい人だったのか、気配り、思慮・配慮が出来ていたのか・・・
それと同じだよね。
マニュアルやセールストークは単なる物売りなんだよね。
でも、ヴァンドゥーズは違う。


商品だって、ただ覚えればいいってわけじゃない。
お菓子の名前をスラスラ言えても、特徴を言えても相手が喜ばなきゃ意味がないよね。
お菓子を知らなきゃいけない理由はさ、なにもお客様の前で知識をひけらかすためじゃないんだよね。


「この◎◎というお菓子なら、甘さも抑えておりますので喜ばれると思います」

「はい、素材も◎◎を使用していまして、更に◎◎によって軽く仕上げておりますので・・・」


たった、これだけの言葉が出てくるだけでも、本当は全ての商品を覚えなきゃ出てこない。
覚えた知識をどう使うかなんだよね。
ジェノワーズがどうのビュスキュイがどうのムースがどうのじゃないんだよ。
高級チョコがどうのでもない。


「お菓子の奥の物語」

ささやかなプレゼントかもしれない
子供の大切なお誕生日なのかもしれない。
3年も浪人して苦労して苦労して合格したお祝いなのかもしれない。
治らないとされていた病気の全快祝いなのかもしれない。
5年ぶりに彼女が出来た嬉しさのあまり、6個も8個も購入してるのかもしれない。
なにもしてあげられなかった妻のため、せめてもの誕生日のお祝いなのかもしれない。
お父さんへ定年退職のお祝いなのかもしれない。
後輩が失恋したので、ケーキづけなのかもしれない。
数年ぶりに会う大切な人のためなのかもしれない。


お客様は、それ等を言えないんだけど、とっても大切な想いをもって来店しているのかもしれないんだよね。
ヴァンドゥーズはコンシェルジュじゃないけどさ、
でもコンシェルジュに要求される事は、全てヴァンドゥーズにも要求されるんだ。
菓子屋は、菓子を売るだけじゃないからね。
作り物じゃなく自然にそれが出来たらいいんじゃないかな。

自社製品のお菓子ってのは人格みたいなものが・・・・可愛がられようとするのは本能

How to use Quote function:

  1. Select some text
  2. Click on the Quote link

Write a comment

Comment
(BBcode and HTML is turned off for anonymous user comments.)

If you can't read the words, press the small reload icon.


Smilies